梁 石日(ヤン・ソギル)で一番最初に読んだのがこれ。以降彼の骨太い小説にはまる。「血と骨」は著者の実の父親「金俊平」をモデルにして、その生き様が描かれている。強靭な肉体をもち、とにかく凶暴で、猜疑心のかたまりで、業が深い、金俊平という圧倒的な存在に周りの人間すべてが巻き込まれていく。同時に朝鮮半島から渡ってきた在日1世とその家族たちが戦後の日本で生きていく厳しさと、彼らのたくましさがリアルに描かれている。読んでしばらくは、凶暴な金俊平が頭からはなれなくなり、自分なりに想像した彼のマネをして遊んだ。いまだにやってる。

「血と骨」の中で金俊平がいつも着ていた「薄汚れた毛皮の半コート」ってやつが印象的で、一昨年前、渋谷のGAPでこのジャケットを試着してみたとき、「ちょっと、金俊平ぽくないか?」と一瞬ためらったが購入してしまった。衿と裏地がボアで表地がスウェード調のコレ、私にはどうしても金俊平を連想させる。なのでこれを「薄汚れた毛皮の半コート」と呼んでいる。