散歩での出来事。いつものように緑道をエフと散歩中、トイプードルを連れたおばさんに会った。おばさんは「まぁ、かわいい。お名前は?」などと言いながらエフを撫でる。エフは人が大好き。道行く人と目が合っただけで、にっこり笑ってしっぽを振る。微笑みかけられたりしたら、猛烈にしっぽを振って嬉しそうに近づいて行く。大抵は人の足元にピタッと背中をつけてお座りし顔を上に向ける。撫でてもらえるとそれはそれは嬉しそう。この日もおばさんの足元に座りながら撫でてもらっていた。そこへ一人の60歳位の男性が通りかかった。その男性がおばさんの横を通り過ぎようとした時、エフの鼻先が歩く男性の指先に触れてしまった。ほんの少し。すると、「ちょっと!失礼な!気をつけてよ!」と大変なケンマクで怒鳴られた。まるでケダモノに触られたみたいに手を払いながら。私はびっくりして、「申し訳ありません。」とあわててお詫びした。おばさんはちょっと怪訝な顔で男性を見ていた。

犬嫌いな人は確かに存在する。はたから見ていると人間のそばに座って嬉しそうに撫でられている様子はとても微笑ましく見えるが、そんなことは関係なく、犬が嫌いな人には自分の歩く道に犬が歩いていること自体がイヤなのだろう。ましてや手に触れてきたりしたら耐えられないのだろう。絶対に危害を加えるようなことはなく、吠えることもしないのだが、それでもキライなものはキライなのだ。私が住んでいる世田谷界隈は犬連れの人がとても多く、犬OKのお店もどんどん増えていっている。散歩しているととてもたくさんの犬仲間に会う。どのワンコもよく躾けられている。人間よりお行儀がいいぞ。
そう、私はすっかり忘れていた。犬が嫌いな人がたくさんいることを。なんらかの理由で犬が好きになれない人がいるのだ。それは仕方がない。
こちらもあちらもイヤな思いをしないよう、できるだけ気をつけなければ。
エフー、ちゃんと私の横について歩いてくれよ。飛びつくなよ。拾い食いするなよ。
公園には「犬の放し飼い禁止」といたるところに貼ってある。エフはリードを放しても私たちのそばを離れない。できればリードなど着けずに歩きたいが、そんなことができる日は遠い遠い未来だろう。