今日、映画「犬猫」(監督・脚本/井口奈己)を観た。ついに。東京での上映は1月で終わり今は全国へ行ってしまっていたのであきらめていたら、文芸座の「気になる日本映画達2004」で1日だけ帰ってきてくれた。
「犬猫」は、東京の片隅の小さな一軒家の住人アベチャン(小池栄子)の留学中、訳あってこの家に一緒に住むことになるヨーコ(榎本加奈子)とすず(藤田陽子)のはなし。黒いPコートに黒ぶちメガネのヨーコと赤いダッフルコートにショートカットのすずは性格もまるで違う。幼なじみだけど微妙に仲がよくない。
この映画、ストーリーも絵もセリフもとても自然で全く無理がない。過剰なものが一切なく普通にとてもリアル。すーっと心に入ってくる。激しい事件は何も起こらないけど二人の日常の微妙な心の揺れがじわっと伝わってくる。ちょっと笑ってしまったり、ちょっとせつなくなってしまったりする。そしてなんといっても「すず」役の藤田陽子さんがものすごくかわいい。ネコのムーちゃんを呼ぶ声も土手を走る姿も振り向きざまに思いっきり殴る姿もすごくイイ。アップになるシーンがほとんどないが、ヨーコの指の包帯をすずが巻いてあげるシーンで二人がアップになる。二人ともすごくかわいくてちょっと色っぽい。それと、西島秀俊さんがその存在感を消して、いまいち魅力に欠ける男の役をさらりと演じている。この間までテレビドラマの「大奥」で「上様」をやっていた人とは思えない。やっぱりこの人好きだなぁ。

そして、この映画のもう一人の重要な役が黒ネコのムーちゃん。気が向いた時しか帰ってこない気ままなムーちゃんが忘れた頃に登場して映画を引き締めている。実はこのムーちゃんはくんちゃんの愛猫プーちゃんなのだ。私の高校時代からの友人くんちゃんは、「犬猫」の製作スタッフの一人なのだ。高校の時から映画が大好きだった彼女は、その頃から変わらないその思いを純粋なまでに貫いている。エンドクレジットで「佐野久仁子」の名前を見たとき、さすがにぐっときた。こんな大きなスクリーンに大きな字で。よく頑張ったなー、くんちゃん。この映画の舞台になっている小さな一軒家にくんちゃんは撮影後そのまま住み着いている。プーちゃんと一緒に。すごく味のある家。

ただし、映画はそういう背景は忘れて、ニュートラルな気持ちで観たつもり。肩の力が抜けている感じに仕上がってるが、でもワンシーンワンシーンが丁寧で繊細で、自然に心にすーっと入ってくる。井口監督のセンスとブレない一途さを感じた。8㎜版も観てみたい。

くんちゃん、今度遊びに行ったら、縁側で足の爪切らせてー。それと、落花生とビールも。あ、でも私はすず役がいいなー。