今日は一日中エフのそばにいた。カラーをはずしているため傷口を舐めないように見ている必要もあるが、なにより、再びエフに安心して過ごしてもらうためにずっと一緒にいた。昨日はほとんどベッドに寝ていて、おしっこ以外はあまり動かずじっとしていたエフだが、今日は少しづつ活動を始めた。階段の上り下りもゆっくりだがするようになり、私のあとを着いてくるようになった。昨日は見向きもしなかったおもちゃで誘ってみると引っ張って遊んだりもした。でもまだ傷が痛いのか、少し遊ぶとすぐに横になる。考えてみれば、おなかを切って臓器を切除したワケで、人間だったらいくら健康体でも翌日はICUで絶対安静状態で起き上がるのも難しいだろう。それなのにエフは自力でおしっこもして、階段も上り下りして、「痛い」の一言も言わず、ホントに犬というのはガマン強い。たいしたもんだ。

エフのカラダをさすっていて少し手を止めると「もっと」と手をかけて催促する。私が少し離れてパソコンに向かったりするとゆっくりとそばにきて手をかけて甘えるしぐさをする。今日ばかりは思い切り甘えさせてみる。再び安心して暮らせるように。
昨日病院で対面した時のエフの顔が忘れられない。外に出て歩かなくなった時の顔も忘れられない。私をじっと見つめて、嬉しいけどとても不安で悲しげな顔。またなにか怖いことがあるのかな、なにか悪いことしたかな、今度は一緒にいられるのかな、という顔。事情を説明できればいいのだけれど、そうもいかず、何も知らずに喜んで行った先でいつの間にか私はいなくなっていて怖くて痛い目にあったエフの気持ちを考えると、だましてしまったみたいで本当に切なくなる。病院でひとり、エフはいったいどんな気持ちで夜を過ごしただろうか。それを思うと涙が止まらなくなる。
いつもいつも人間の行動をじっと見て表情を観察して、気持ちを読み取って、一生懸命そばにいようとする犬。裏切られてもまた信じようとする犬。エフと暮らしてみてその感受性の豊かさとデリケートさには驚いた。人の気持ちを本当に敏感に察知する。とても傷つきやすい。心の中で喜んだり悲しんだり落ち込んだりが人間以上に激しいかもしれない。そしていつもどこかで不安な思いを抱えているようにもみえる。
寝ているときに時々小さな声で切なく鳴くことがある。夢の中でも不安な思いをしているのか。楽しくてもどこかで不安な気持ちを抱きながら過ごしていくしかないのか。
もう二度とこんな思いはさせたくないとエフを見て思う。