抜糸を明日に控えて、はたしてエフは再び病院へ行ってくれるだろうか・・という不安がある。イヤだと思うと頑として動かなくなるエフ、それはそれは強情で、おやつでつってもボールでつっても決して動かない。リードで無理矢理引っ張るとフセの体勢のままお腹をひきずるが、四肢を少し広げて踏ん張り抵抗する。そんなエフが手術をしたあの病院へ行ってくれるだろうか。ムリだろう…。試しに今日の散歩で病院まで行ってみることにした。
いつもの散歩とは反対方向へ歩き出すことになるが、エフは全く気にせず嬉しそうにズンズン歩く。特徴のある細い坂道を上って行くと、そろそろ気付いたか、若干速度が緩まった。道の匂いを嗅ぎながら、しかしまだまだ歩く。病院前に続くストレートな道に入ると、なんとエフ、嬉しそうに病院めがけて走り出した。丁度休診時間で閉まっていたが、門の前で中に入りたそうに嬉しそうな顔をしてしっぽを振っている。驚いた。絶対近づかないだろうと思っていたのに。
きっと、痛い目にあったけど病院のスタッフの皆さんがエフにとても優しくしてくれたのだろう。エフにとってはそっちの記憶の方が勝っているのかな。そういえば手術翌日に迎えに行った時、病院の獣医さん(3人程いらっしゃる)全員がかわるがわる声をかけてくれたっけ。執刀した先生は次の日の夜に電話もくれた。エフはそんな皆さんの優しさをよく覚えているらしい。よかった。イイ病院にめぐりあえて。ありがたい。明日は抱きかかえて連れて行くつもりでいたのに、ちょっと安心した。

家に帰ってきてカーペットの上に座って足をのばしくつろごうとすると、エフが私の太ももの上に乗ってきた。こういう時必ず私に背中を向けて座る。重いがガマンして撫でてあげる。撫でていると時々少しだけこちらを振り返りいつまでもじっと座っている。重い。ちょっと足が痛い。おい、甘えるのも抜糸までだぞ。