運転免許の更新のお知らせがきた。

5年前、母が亡くなる2週間程前に更新手続きにいった免許証の写真は、びっくりするほどやつれた悲しい顔をしている。
当時の私は緩和ケア病棟の病室にずっと泊まっていて、刻々と悪くなっていく容態にほとんど眠れず食べられずの日々を送っていた。
叔母と付き添いを交代して東京に戻った日にふらふらしながら更新に行ったことを覚えている。顔色悪く頬がこけ目が小さいぼーっとした写真。

看病していた1年半の間、東京と実家を往復する東名の車の中では、大体いつも運転しながらひとりで泣いていた。泣きすぎで目が小さくなってしまった。いつも鼻づまり声だった。

あれから5年経って、すっかり顔も丸く目も鼻も元に戻った。
新しい免許証の写真はむしろプッと笑ってしまうような顔で写るに違いない。
時は流れる。


それでもいまだにひとりで東名を走っていると色んなことが思い出されてついつい涙がこぼれてしまったりするのだけど、今年の命日は大丈夫だった。



なにせエフが嬉しそうで嬉しそうで。

東名に乗った時点で既にヘラヘラ、ずっとヘラヘラ。

富士インターを下りると立ち上がってしっぽふりふり。
自然と私もヘラヘラしてしまう。


しかし、
実家に到着して車を飛び降りて玄関にダッシュするも父がいなくて焦るエフ。


ぴーぴー泣きながら庭中走り回って探す。



どこ?



どこ?


どこ?


いないの?

すると車の音が。


はっ!

きたっ!


もーーー、どこ行ってたですかー!


荷物なら持ちますってばー!



お土産用にやきそばやらエフのおやつやらを買いに行っていた父。ありがとう。


エフ、やっと一安心。よかったね〜。


犬ってこんなにも嬉しそうな顔するんだって、
いつもなんだかじーんとしてしまうエフの表情。



もしも私がエフを残して死んでしまって、空の上からエフの様子を見ていたとして、毎日エフが泣きそうな顔してふさぎ込んでいたらきっと悲しくて悲しくてたまらないだろう。
私がいなくても楽しく明るく逞しく笑って暮らしていて欲しい。時々思い出して明るく空を見上げてくれたら嬉しい。いや、幸せな毎日を送っているのなら思い出してくれなくても全然いいよ。心底そう思う。

そんなこと改めて思った5回目の命日でした。
母よ、安心してくれているかな。